お台場カジノができたら「行きたい」64.6%、お台場以外は低い認知度(博報堂調査)


博報堂(宮川智雄社長)のカジノビジネス研究会は4月17日、「カジノビジネス生活
者調査第一回」の速報を発表した。この調査は、今年3月に首都圏在住の20代〜60
代の男女500人(各年代男女50人均等割付)を対象に、カジノに対する意識と実態
をインターネット上で調査したもの。これによると、東京都お台場にカジノを中心とし
た複合娯楽施設ができた場合、64.6%の人が「行ってみたい」と回答したという。

●合法化の動きは92.8%が「知っている」が、お台場以外は低い認知度

カジノ合法化の動きについて知っているかどうかの質問では、「よく知っている」が4
3.4%、「見聞きしたことがある様な気がする」が49.2%で、9割以上の人が認
知していた。男女別では、男性は96.4%、女性は88.8%が知っていると回答。

構造改革特区構想としてカジノ設立を検討・特例導入の要望をした地方自治体は多くある。
しかし、今回の調査の結果では、東京・お台場のカジノ構想については「知っている」と回
答した人が81.0%いたものの、その他の想定地についての認知度は低い数値となった。

お台場の次に認知度が高いのは、カジノ法の試案作成が一般報道で取り上げられた静岡県・熱
海だが、数値は17.4%で、お台場と比べると大きな差がついている。続いて沖縄が12.
2%、2001年3月にシーガイアが会社更生法の適用を申請した影響もあり、観光・リゾー
ト産業低迷の印象が強い宮崎県が7.2%、その他の想定地は5%を下回る認知度となった。

お台場カジノの認知度の高さは、石原都知事の施策・言動が一般マスコミの注目を引きやす
い、という要素に加え、都庁でカジノイベントを開催するなど、都が合法化に向けてのアク
ションを実際に起こしている事から、多くの人に強い印象を与えているためと推測される。

・カジノ想定地の認知度と魅力



●お台場カジノに「行ってみたい」64.6%

お台場に、カジノを中心とした複合娯楽施設ができた場合、行ってみたいかどうかを問う質問では、「ぜひ
行ってみたい」が24.6%、「やや行ってみたい」が40.0%、「全く行きたくない」が35.4%。

性別・年齢別に見ると、20〜30代の男性と20代女性の参加意欲が高い。

50代男性と40〜60代女性は、20〜30代と比べるとやや数
値が低いが、それでも50%前後が「行きたい」と回答している。


(財)社会安全研究財団
「パチンコに関する世論・有識者調査」
博報堂 カジノビジネス研究会
「カジノビジネス生活調査 第一回」
調査方法
訪問留置調査
多段階無作為抽出
(一般世論調査)
インターネット調査
調査対象
全国5万人以上都市部
2218人
首都圏
500人
質  問
現在、東京をはじめとする全国各地の自治体が、その合法化、設置についてさかんに議論しています。(中略)日本にカジノができた場合、あなたは行きたいと思いますか。 (お台場の)カジノの周囲にはレストランや映画館、劇場やホテルなどが併設され、にぎわいのある街を形成します。このようなカジノができた場合、行ってみたいですか。
回  答
ぜひ行ってみたい 7% 是非行ってみたい 25%
少しは行ってみたい 21% やや行ってみたい 40%
あまり行きたいとは思わない 30%
まったく行きたいとは思わない 40% 全く行きたくない 35%

なお、この調査では、カジノそのものへの参加意欲ではなく、「都市型複合娯楽施設・に
ぎわいのある街」という要素(魅力)を含んだカジノ施設に行ってみたいかどうかを質問
していること、お台場という候補地に限定していること、調査対象が首都圏(日帰りでお
台場に行くことが可能な地域)在住者であること等の点を念頭に置く必要があるだろう。

また、既報の「パチンコに関する世論調査」(財団法人社会安全研究財団調査)での「カジ
ノへの来場意向」に関する調査結果と比較すると、同調査ではカジノへの参加意欲を質問す
る際、カジノ以外の要素は含まずに、「日本にカジノができた場合、あなたは行きたいと思
いますか」と質問しており、40%が「まったく行きたいとは思わない」と回答している。

調査方法や趣旨、対象者、選択肢の数などの違いがあるため単純に比較はできないが、博報
堂の調査よりも「全く行きたくない」とする回答が約5%多く、「ぜひ行ってみたい」とい
う意見が18%少ない等の差が見られるのは興味深い。賭博行為そのものには少々抵抗を感
じる人々も、食事やショッピングが楽しめる複合娯楽施設、テーマパーク的なエンターテイ
ンメント施設という「カジノに付加される要素」には魅力を感じているという事だろうか。


●カジノの楽しみ方は「半年〜年に1度」「週末に」「2〜3時間」

行きたい時期や頻度等についての質問では、「半年に1度」「普段の週末に」という回答が多い。プレイ
時間については、「2〜3時間」という回答が54.8%と多く、次いで「4〜5時間」が30.0%。

ゲームの内容については、「ルーレット」や「スロットマシン」等、単純にプレイ
できるものに人気が集中。ただ、ビデオゲームやバカラ、クラプス等は、どのよう
なゲームなのか知られていないために票が集まらないという見方もできるだろう。

また、1泊2日は3.7%、2泊3日以上は0.0%と、宿泊して楽しむという需要はほとんど
ない様に見えるが、これは調査対象が首都圏在住者(日帰りが可能)であるためと推察される。

・お台場カジノに行く頻度・時期・プレイ時間など
どのくらいの頻度で いつ 誰と 何を どれくらい
ほぼ毎日 0.3% 普段の週末に 57.0% 友達と 48.6% ルーレット 79.6% 1時間以下 5.0%
週に2・3回 0.6% 夏休みなど長期の休みに 23.5% 夫婦で 36.2% スロットマシン 76.8% 2−3時間 54.8%
週に1回 3.7% 連休などに 35.6% 家族と 29.4% ブラックジャック 35.3% 4−5時間 30.0%
月に2・3回 6.8% 平日に休みを取って 9.9% カップルで 21.7% ポーカー 26.3% 6−7時間 3.7%
月に1度 17.6% 平日の会社帰りに 8.0% 一人で 21.4% ビデオゲーム(ポーカーなど) 14.6% 8−9時間 0.9%
2・3ヶ月に1度 17.6%     会社の同僚と 15.2% バカラ 14.6% 10−11時間 0.0%
半年に1度 23.8%     仕事関係の人と(接待など) 2.5% クラプス 1.5% 12時間以上(日帰り) 1.9%
年に1度 20.1%             1泊2日 3.7%
それ以下 9.3%             2泊3日以上 0.0%



●消費予想金額 カジノでは平均約2万円、カジノ以外も含め約4万5000円

お台場のカジノを中心とした都市型複合娯楽施設に行った場合、1回につき幾
らくらいのお金を使うと思うか、という質問では、全体の平均が約4万500
0円、そのうちほぼ半額の約2万円をカジノで消費するという結果となった。

男女別に見ると、男性は平均5万円(うちカジノに約2万5000円)、女性は平均3万800
0円(うちカジノに約1万3000円)と差が見られた。また、女性はショッピングについて、
男性よりも大目の予算をとる傾向が見られた。博報堂では、「カジノとショッピング施設のバラ
ンスの取り方が、男性女性ともに楽しめる娯楽施設としての鍵になりそう」、と分析している。

・お台場カジノに1回行くごとに消費する金額の予想
全体平均 合計 カジノ レストラン ショー/演劇 ショッピング 宿泊 その他
45,065 19,974 5,442 3,142 7,382 6,519 2,606
男性 合計 50,574 25,351 5,587 3,105 6,669 6,769 3,093
20代 34,557 17,763 3,934 2,908 5,351 4,111 490
30代 52,672 26,195 5,073 2,763 7,316 6,639 4,686
40代 70,492 34,722 7,375 3,352 9,471 10,606 4,966
50代 44,253 25,821 4,393 3,296 4,120 4,040 2,583
60代 50,039 22,226 7,350 3,345 6,385 8,385 2,348
女性 合計 38,457 13,566 5,269 3,186 8,174 6,237 2,025
20代 33,076 13,225 4,194 1,794 6,944 5,794 1,125
30代 44,127 14,758 5,422 4,121 10,290 6,286 3,250
40代 41,774 12,054 5,500 3,732 9,786 7,429 3,273
50代 40,265 16,584 4,625 3,500 6,459 6,875 2,222
60代 33,992 11,280 6,980 3,080 7,160 4,840 652


●お台場カジノへの期待 「様々な娯楽」「安心感」「明るい雰囲気」「非日常」

お台場のカジノに対する期待についての質問では、「様々な娯楽がひとつの場所で楽しめる事」
という回答が67.8%と最も多かった。続いて、「安心感がある事」が57.0%、「明るい
雰囲気であること」が55.0%、「非日常的な雰囲気が楽しめること」が50.4%。健全さ
と非日常性を望む意見の背景には、従来の賭博行為にありがちなダーティイメージからくる警戒
心や、のめり込み・依存症などの問題発生への懸念が反映されたものと見る事もできるだろう。




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